木津川  下流 流れ橋(上津屋橋)  京都府八幡市−久世郡久御山町   →木津川表紙


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 木津川下流部の、知る人ぞ知る名所、流れ橋。
今や全国的にも貴重な木橋で、これほど長大なものは数える程しか残されていない。
橋そのものを見に遠方からやってくる人、水遊びに来る人、サイクリングや散歩の人などで橋は賑わう。
地元の人にとっては、貴重な生活道路でもある。
正式名称は「上津屋橋(こうづやばし)」で、府道。昭和初期の架橋以前は渡船があった。

流れ橋から上流を望む 流れ橋から下流を望む

 流れ橋付近の木津川はごく浅く、容易に歩いて渡ることができる。
河床はほぼ砂地で、川底に掌を置くと、見る間に砂が掘れてゆく。
水質には些か問題あるものの、まだ透明度は失われていない。
1960年代までは、木津川下流部各所に水泳場があった。

右岸側派流 2003年9月 右岸堤と畑地
河川敷の茶畑 橋中央部から川面 2002年

 少し前には、出水時には右岸側に派流ができ、夏には良き水遊びの場となった。
堤は山の如く高く聳え立つ。堤内地には田畑が多い。
河川敷にも畑地があり、茶畑が多いのがここの特徴である。

右岸側の「本流」
上左/2009年8月、上右/2007年9月

 ここ最近は右岸側に主な水が導かれ、コンクリート橋脚をたっぷりの水が洗う。もはや水遊びどころではなく、落ちたら危ないくらいの流れ。
左岸側にも水は行くが、ごくごく浅い流れで、時に完全に涸れることもある。
※2016年の改修後、「右岸側だけだったコンクリート橋脚」はなくなり、全て同じ仕様になった。橋上手にあった河原の砂丘も一部撤去されている(2016年4月追記)。


 橋は、増水時には洪水流に逆らわず橋桁を流す仕組みになっている。
これが「流れ橋」と呼ばれる所以である。
橋桁は八つのパーツに分けられ、ワイヤーで連結されている。流れた際にはこれを手繰り寄せ回収する工夫である。
橋板には一枚一枚にナンバーが打たれ、改修に備えてある。
幾度もの補修の跡が見られ、保存に携わる人々の労苦をうかがわせる。

 上写真は台風の当たり年・2004年夏に損傷を受けた流れ橋。
橋桁はほぼ全面にわたってずれ、大きく傾いでいるものもある。
上流側に絡みついた無数の流木が、増水ピーク時の凄まじさを伝える。
むろんこの状態になった時は通行止め、時おり様子を眺めにやってくる人もいる。
※上段パノラマ2004/8/8、下段左と中央2004/12/13、下段右2004/8/8

 こうした折には、構造がはっきりと判る。かねて用意のワイヤーは、しっかりと橋桁を繋ぎ止め、流失を防ぐ。
この工夫がなければ、ここの損失のほか、下流部への被害が甚大となる。
橋脚にからみついて残る、すさまじい量の木片や枯れ枝や、夥しい流送土砂を見ると、あらためて水の力の凄さを思い知らされる。

2009年10月撮影 損傷を受けた様子

 2009年10月にも、台風18号による増水のため、大きな損傷を受けた。
10月8日朝、みるみるうちに水が満ちてきて橋桁を洗いだし、橋たもとの茶畑にまで冠水が及び、お昼前にはめりめりと音を立てて橋桁がはずれ、濁流に棚引いた。こういうふうに「流れた」のは1997年以来、12年ぶりのこと。橋桁は四ヶ所ほど引っ掛かって棚引いていて、中央部ではすぐ下に落ちて横倒しになっているところもある。また、橋脚が何本か完全に壊れ、あるいは流失していて、復旧(通行止解除)は2010年6月16日までかかった。
2011年9月3日にも台風12号による増水で損傷を受け通行止めとなり、2012年4月27日に修復工事が終わり通行止め解除となった。
2012年10月にも橋桁流出、2013年4月に通行止め解除。
2013年9月16日未明、台風18号の影響による豪雨で増水、橋桁は全てはずれ、河川敷の茶畑も冠水した。2014年4月末通行止め解除。
2014年8月9日昼過ぎ、台風11号の影響による豪雨で増水、橋桁がはずれている。2016年3月27日修復され通行止め解除、橋脚はコンクリート造りに強化された。

流出し下流側に横たわる橋桁 2013年9月23日撮影
復旧工事中の流れ橋・パイルドライバが作業中 2016年1月10日撮影
開通後、多数の人で賑わう流れ橋 2016年4月撮影
改修後の橋脚 2016年4月撮影

富士山合成 ここは時代劇撮影スポットでもある。
水戸黄門も中村主水も暴れん坊将軍も三匹も渡る。
富士山を合成して東海道になったり、大川の花火の夜になったり、日吉丸が蜂須賀小六と出会う矢作橋になったりする。
←左は富士山を合成したもの

増水時
増水時の流れ橋 水の引きはじめ

*参考
 ・時代劇の風景「流れ橋」
 ・時代劇使用例  1960年代〜1980年代  1990年代〜2000年代

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最終更新 2016/4/26


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