【クイズの解説】交通量の多い交差点での危険予測 80【クルマ視点】
交通安全クイズ
ヒントページのアニメーションをご覧下さい。
クルマを運転中、あなたは大きな交差点を右折しようとしています。
今回のシーンで、最も大きな危険が潜んでいたのは、次のうちどれ?
- 【1】 対向バイク
- 【2】 対向トラック
- 【3】 右側の歩行者
正解は↓↓こちら!
正解と解説
【1】対向バイク
思ったより対向バイクが早く近づき、衝突するところでした。
信号交差点での事故で最も多い「右折時」。
四輪が右折、二輪が直進の「右直事故」に注意!
令和4年に信号交差点内での事故(車両相互)は4万2,820件起きており、「右折時」が1万4,775件と最も多くなっています。
一方、四輪と二輪の行動類型別の事故件数を見ると、四輪が右折、二輪が直進の「右直事故」が9,610件と最も多く、そのうち四輪が第1当事者(事故の責任が重い側)になるケースが約98%を占めます。
つまり、右直事故のほとんどが四輪ドライバーの過失によって起きており、事故原因にはバイクの見落とし、バイクとの距離や速度の見誤りなどによる無理な右折が多くなっています。
なお、右直事故の怖い点は、直進するバイクと右折車両がまともに衝突するため、バイクが受けるダメージが大きいことです。死亡事故につながるケースが多いため、右折時はより慎重な判断が求められます。
(資料=交通事故総合分析センター)
対向バイクとの距離や速度の錯覚に注意!
急ぎや焦りの心理も判断の誤りに。
人の目は、大きいものは近くに、小さいものは遠くに感じる傾向があります。これは車体の大きさの違いで相手との距離や速度に錯覚が生じることが原因です。
そのため、車体が小さいバイクを見たとき、実際の距離より遠くに感じたり、速度を遅く感じたりしてしまうことがあり、それが今回のような危険な右折行動につながってしまいます。
さらに、問題の場面のように対向車が続いてなかなか右折できず、後続車からクラクションで右折を促されたり、時間に余裕がなかったりすると、「早く曲がらないと」と焦る気持ちが生じ、判断を誤って無理して曲がってしまうため、より注意が必要です。
右折時は対向車線から直進してくる大きい車両に目を奪われやすいですが、周囲を走る小さなバイクの存在を見落とさないように、意識して小さいバイクを見つけることが大切です。
意識して見ることで、人間の目は中心視(※)で物を見ようとするため、バイクの見落としも少なくなります。バイクを発見したら距離や速度を錯覚する危険性を考えて、バイクの通過を待つように習慣づけることが事故防止につながります。
(※)人間の視野(左右100度ほど)のうち、物の形や色などがはっきり認識できる範囲のこと。注視点から1~2度の狭い範囲で、中心視または中心視野という。
大きな交差点での右折時は危険がいっぱい。
曲がった先の横断歩道も要注意!
令和4年に起きた四輪の右折事故を法令違反別で見ると、最も多いのが「安全不確認(1万202件)」で、「交差点安全進行義務違反(4,792件)」、「交差点優先車妨害(3,647件)」と続きます。
交差点での右折時は対向車だけでなく、曲がった先の横断歩道への注意も重要です。問題の場面では、高齢の歩行者がすでに渡り終えようとしていましたが、転倒したり、急に向きを変えたりする可能性もあります。
また、右側から駆け込んでくる別の歩行者や自転車がいるかもしれません。交差点では多くの安全確認が必要になるため、対向車の切れ目で急いで右折しようと斜めにショートカットするような走り方は禁物です。
車の向きが斜めになり、右側からくる歩行者や自転車を見落としたり、発見が遅れたりする危険性が高くなるからです。
事故防止のためにも対向車が完全に途切れてから安全確認をしっかりして曲がりましょう。
(資料=交通事故総合分析センター)
バイクからの視点
上は対向するバイクから見たものです。
車体が小さいバイクは右折するドライバーから見落とされたり、目の錯覚によって実際より距離が遠くに感じられたり、速度を過小評価されたりする危険性があります。
バイクの運転者はそのような特性を踏まえ、交差点では決して優先意識を持たず、「右折してくる車がいるかもしれない」と予測して速度を抑え、ブレーキの準備をして慎重に交差点に進入することが大切です。薄暮時や夜間はさらに認識されにくくなるため、より注意が必要です。
なお、バイクは四輪車のように車体で身体を守られていないため、ちょっとした接触でも重傷・重大事故につながります。
令和4年の事故データでは、「自動車乗車中」の致死率が0.41%であるのに対し、「原付乗車中」は0.57%、「自動二輪車乗車中」は1.50%と大幅に高くなっています。
また、二輪車での死亡事故を調べると、頭部と胸部を損傷するケースが多く、事故の衝撃でヘルメットが脱落するケースも少なくありません。ヘルメット着用時はストラップ(あごひも)をしっかり締め、できるだけ胸部を守るプロテクターも着用しましょう。
(資料=警察庁)