【クイズの解説】街灯の少ない道路での危険予測 65【歩行者視点】
交通安全クイズ
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夜間、あなたは街灯の少ない道路を歩いています。今回のシーンで最も大きな危険が隠れていたのは、次のうちどれでしょう?
- 【1】 右側の自転車
- 【2】 手前の白い車
- 【3】 左側の黒い車
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正解と解説
【3】左側の黒い車
左側から無灯火車両が来ていることに気がつかず、ひかれそうになりました。
歩行中の交通事故死者数の7割が高齢者!
死亡事故は17~19時に集中して発生。
平成30年中の歩行中交通事故死者数は1,258人に上り、そのうち高齢者は899人と約71%を占めています。
事故類型別で見ると、横断中が650人と最も多く、横断中のなかでも、横断歩道等以外の「その他横断中」が362人と最も多くなっています。
また、平成27年中の高齢歩行者事故を分析したところ、死亡事故は自宅から500m圏内で多発しており、事故が集中している17~19時台は、買い物や訪問による外出が半数を占めています。
道路横断中の死亡事故を通行方向別で見ると、今回のような横断後半に左側から走行してくる車と衝突するケースが71.8%と、圧倒的に多くなっています。
今回のケースは高齢歩行者事故で最も多く発生している事故パターンで、夜間道路を横断する際は細心の注意が必要です。
(資料=交通事故総合分析センター)
意外と多い、夜間の無灯火車両。
道路を横断する際は、その存在に注意!
問題の場面をよく見ると、左前方に黒っぽい車のシルエットが見えていました。夜間はライトを点灯した車ばかり注意してしまいがちですが、街灯や店舗の明かりがある道路では、無灯火に気づかずに走行している車も存在するので、道路を横断する際は無灯火車両が走っている可能性を考えておく必要があります。
とくに高齢者の場合、視力が低下していて無灯火車両を見落としてしまう危険性があります。さらに、加齢にともなって目の水晶体が濁る「白内障」も増え、60歳代で約70%、70歳代では約90%が白内障になると言われています。
白内障になると、視力が低下するだけでなく、全体的に黄色く見えたり、かすんで見えることがあります。また、白内障になると眩しさを感じやすくなるため、今回のように無灯火車両の前後にライトを点灯している車が走っている場合、ライトの光で眩惑され、無灯火車両がより見えづらくなる危険性があります。
身体の衰えを自覚して、無理な横断はしない。
夜間は明るい色の服を着たり、反射材を付ける。
横断中の事故は、歩行者側の安全確認不足などが原因になっているケースも少なくありません。平成30年に起きた横断中事故(1当+2当※)を調べると、「安全確認なし」が2,640件、「安全確認不十分」が2,315件と、人的要因の中で圧倒的に多くなっています。
また、歩行者側の交通ルール違反が原因になっていることも多く、65歳以上の高齢者の死亡事故件数(1当+2当)を法令違反別で見ると、横断歩道外横断や斜め横断などの「横断不適」が170件と最も多く、次に「走行車両の直前・直後横断」が120件と続きます。
高齢者の場合、加齢にともなって視力や脚力など身体機能が低下するので、それを自覚して無理な横断はせず、近くに横断歩道があれば、必ず横断歩道を利用するようにします。とくに夜間は視認性が低下するので、車との距離や速度を見誤る可能性もあり、遠くに見えた車が思ったより早く接近してきたというケースも多いので、左右の車が完全に途切れてから渡るようにしましょう。
また、夜間はドライバーから見落とされないように、白っぽい服を着たり、反射材を身に着けることも大切です。
(資料=交通事故総合分析センター)
※事故の当事者の中で過失が重い順に「第1当事者」、「第2当事者」となる。過失が同程度の場合、けがの程度が軽いほうが第1当事者となる。
【別視点】ドライバーの視点
道路に照明があると、ライトを点けなくても路面がある程度見えるので、無灯火に気づかず走行してしまうことがあります。
とくに最近は自発光式メーターを採用している車が多く、周囲が暗くなってもメーターは明るく見やすいため、無灯火であることに気づきにくくなっています。夜間はドライバーだけでなく歩行者の視認性も低下するので、自車の存在をしっかり確認してもらうように、無灯火に注意するのはもちろん、早めにライトを点灯することが大切です。
夕暮れ時はスモールライトやフォグライトを点灯するドライバーもいますが、周囲の車や歩行者からより見えやすいようにヘッドライトを点灯しましょう(下記「交通安全クイズ」参照)。
最近では、周囲の明るさに応じて自動でライトが点灯する「オートライト」が装備されている車も増えています。そのような車に乗っている場合、ライトの点け忘れを防止するため、運転時はライトスイッチを「オート」に設定しましょう。
また、日中でも、雨天時や降雪時、霧が発生していると、周囲の車や歩行者から見落とされやすくなるので、そのような悪天候時もヘッドライトを点灯することが大切です。
なお、歩行者が横断中の事故を調べると、今回のように車両から見て歩行者が右側から横断しているケースが多くなっています。車のヘッドライトは左右で配光特性が違い、右側は対向車を眩惑させないように左側に比べて光が届く範囲が短くなっており、右側から横断してくる歩行者の発見が遅れる危険性があります。
道路沿いにスーパーやコンビニなどがあるエリアでは、歩行者が横断することも多いので、そのような場所に差し掛かったら、速度を抑えて、道路の左右から横断する歩行者の存在に注意しましょう。